聊斎志異~蓮の香り~
四人の名手は献上品の「麒麟の玉珠」を護送し帰京する際に、西域の大砂漠の麒麟鎮で殺された。そのため、朝廷が長年に探し続けた「麒麟の玉珠」がなくなり、名手らの死体も行方不明になった。民間の噂によって、それは妖狐による騒乱だと言われ、西域の人々がびくびくしていた。科挙の首席及第者の桑子明は麒麟鎮で「麒麟の玉珠」の行方を探し、近日中に王殿を殺害した犯人の蓮香を追跡すると命じた。麒麟鎮で苦学していたことがある桑子明が、昔蓮香と恋人であった。蓮香は彼に半分の龍鳳玉佩を婚約の証として渡した。桑子明は功名を取ってから蓮香を嫁に迎えると誓ったが、思いがけず、今の蓮香は犯人になってしまったとは。
途中で偶然、桑子明は麒麟鎮の外で殺し屋に囲まれていた蓮香を救った。しかし、彼女は記憶を失ってしまって、事件当日、ただ青衣の役者が王殿を殺したのを見たことだけを覚えている。彼女は事件現場に現れたので、犯人と誤解されているのだ。この女子が蓮香とそっくりだが、多くの生活習慣が自分の恋人と全然違って、桑子明に疑惑を抱かせていたる……
王殿を殺害した犯人を追う以外に、「麒麟の玉珠」を探すという難役は皆目見当がつかない。桑子明は先に名手の死亡現場に行って調査するしかない。民間の伝説で事件の場所は妖狐の古巣だと言われ、桑子明はひとりで行くことと決めた…